「リンジー・バッキンガム/クリスティン・マクヴィー」
(ワーナーミュージックジャパン/2017年7月19日発売予定)
(Atlantic/East West/Rhino/9029582831)
リンジー、クリスティン、それにミック・フリートウッド、
ジョン・マクヴィーもいる! それなのにこのユニット名?
不参加のスティーヴィー・ニックスに気を遣ってのことだと聞いたけれど、
紛れもなくフリートウッド・マックである。
クリスティン不参加の『セイ・ユー・ウィル』もフリートウッド・マック!
今回と顔ぶれがリンジーと故ボブ・ウェルチが違うだけの
『クリスタルの謎』も…。
さらにはデイブ・メイソン等が参加してたアルバムもそうだったのだから、
今回も完全にフリートウッドマックだ!…(まあいいか)
しかし、さすがにこのユニット名だと、セールス的には不利なんじゃないのか?
(お前が言うなよ)という心配もよそに、
発売していきなり全米チャート1位!全英5位というのだからあっぱれである!
内容だがいきなり①②と打ち込み的なビートで、リンジー一連のキレてた
ソロアルバムを想像してしまい、嫌な予感がしたのだが、その予感は③から
裏切られた。この曲以降は全部ミックが叩いてる!(間違いない)。
ふくよかなビートとこのバンドが昔から大事にしてる独特の隙間がとても
心地いい。
今年で結成50年の大ベテランバンドなのに、枯れた感触が全くないのが嬉しい。
クリスティンが歌う④は凄くポップだし、⑥は「ワールド・ターニング」を
連想させる。
ギターリフもリンジーの得意技でソロアルバムにもよく出てくるパターンだ。
⑧はスティーヴィーのコーラスが聞こえてきそうだ。
申し訳なさそうに隅っこで鳴ってるアコースティックギターが
「ソングバード」のよう。
⑩は「アイム・ソー・アフレイド」と「ブラウン・アイズ」を併せたような曲だ。
歌は見事にクリスティン節!
1977年にアルバム『噂』(現在までに4500万枚(!)売れてるらしい)が
大ヒットした頃、日本のマスコミは彼等を「産業ロック」「商業ロック」だの
やたらと批判的な表現を使っていたが、“ほざくな!”である。
普通にロックをやってたのに結果としてヒットしてしまったのである。
僕は「フリートウッド・マックのファンだ」というと、大抵の人たちから
「マニアックやね」「はあ、何それ?」と言われてしまうのだが、
ここ最近は「はっはっは、今、全米1位のバンドを君たちは知らないのか?
はっはっはっ」と心の中で笑っている。
一度でいいから、ステージを見たいが…来日は絶対にないだろうなあ…。